誰のための在宅サービスか

訪問介護を利用しているお年寄りには在宅医療を受けているかたも少なくない。
介護や生活面のサポートはヘルパーが、医療面のサポートは医師や看護師が、
というふうに基本的にやるべきことは違うのだけれど、かぶる部分もある。


入浴介助はヘルパーも看護師もやるし、服薬管理、水分補給などはヘルパーも関与する。
一軒のお宅に複数のサービス業者が入っていると、在宅の現場が混乱する場合がある。
混乱しないようにチームをまとめるのがケアマネージャーの役割だ。


利用者さんの要望をもとに業者間の意見をとりまとめケアプランを作成するのが仕事だが、
医療側と意見が合わず調整に苦労しているケアマネさんがいた。「考えかたが合わない」と
憤慨しておられたが、そもそも医療と介護では目的が違うのだから無理もない。


医療は病気や症状の治療を目的としている(キュア)のに対して、介護は利用者が家で生活できるように
身体介護や家事援助をする(ケア)のが目的だ。問題は医療側の意識が在宅向けになっていないことだ。
指示される側の立場として感じるのは、医療側は利用者さんを管理しようという意識が強い。
違うところもあるかもしれないが、自分がいま関わっているところはそうだ。


利用者のことを考えてのことだとは思うが、自分の家なのにあれこれ管理されて、
「好きにさしてえな」と、げんなりしている利用者さんがいるのも事実だ。
入れかわり立ちかわり人が出入りして気が休まらないらしい。
「家は病院とちがいますよ」と言いたくなった。


正直な話、先が長くない高齢者にたくさんの薬を飲ませることに
意味があるんだろうか。本人は飲んでも効かんと言ってるのに。
「地獄です」と、長生きを嘆く言葉を何度も聞いている。


お迎えがなかなか来なくて苦しんでいるお年寄りや家族は世の中にたくさんいると思う。
点滴や経管栄養、胃ろう、などで肉体を生かせても、寝たままで自由も楽しみもなく、
生かされているのは本人にとって苦痛でしかないだろう。過剰な医療の介入は避けて、
穏やかに最期を迎える、看取りのための医療がいま必要とされている。


住み慣れた家で利用者が心穏やかに暮らせるように支援するのが、
在宅の介護や医療では最も優先されるべき目的ではないだろうか。
主役は介護者でも医療者でもなく、利用者だということを忘れないようにしたい。
[ 2016/03/01 21:54 ] 介護 | CM(4)
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  • 介護はつらいよ

    介護保険が始まる前からヘルパーの仕事をしている。有償のボランティア時代を入れると20年以上になる。
    やめたいと思ったことは何度もあるが、一人仕事と外回りが好きなので細々とだが続いている。


    白猫は生活援助が中心なので重介護の利用者さんはいないが、年を経るごとに利用者さんの体調や状況は変わるし、病気や転倒事故で入院されるかたも多い。介護度がアップしていくごとにケアの内容も複雑になる。


    一例をあげるとこんなかんじ。


    1時間のあいだに、買い物、調理、冷蔵庫残り物処分、服薬チェック、栄養剤残数チェック、
    献立表、連絡ノート、報告書記入などがあって忙しい。在宅医療が入ってると看護師さんとの
    やりとりも発生し気を使う。いちいち冷蔵庫のなかを見て、○○の消費期限が切れてたとか、
    細々と事務所にクレームを言ってくる人がいる。指示出しされるごとに仕事が増える。泣


    看護師さんもいろいろだが、こんな口うるさいタイプは、はじめてだ。
    上から目線であれこれ指図してくるのでたまらんなあと思ってたら、
    利用者さんが入院されてサービスが中止になった。
    不謹慎だが、ちょっとほっとしたのも事実だ。


    長く関わっていると利用者さんとのあいだにもいろいろあって、しんどいなあと感じることがある。
    時間が短いし仕事と思ってるので我慢できるが、ずっとだとしんどいだろうなあ、と思う。
    特に身内の介護は感情的になるのでしんどい。他人の方が気が楽だ。


    ビートたけしさんが、お父さんが亡くなったときほっとしたと発言したことについて、
    共感したなど、いろいろな人の意見が書き込まれている掲示板を見つけた。
    同時に何人も介護してると言うような、深刻な内容が多く考えさせられた。
    経験した人でしかわからない介護の本音だと思う。


    ガールズちゃんねる


    元気なうちにポックリ逝きたい。
    [ 2015/11/18 00:49 ] 介護 | CM(6)
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  • 暗い家

    ヘルパーの仕事でいろんなお宅を訪ねてきたが、京都という土地柄のせいか築年数の古いお家が多かった。と言っても、浴室、トイレ、台所などはリフォームされて今風になっているお家がほとんどだ。
    懐古趣味なので古い家は好きだけど、家の中が暗いのは苦手である。


    以前、伺っていたお宅でちょっと怖い体験をしたことがある。
    気のせいだと思うけど、やっぱり暗いより明るいほうがいい。


    いま伺っているお宅にも暗いお家がある。家全体が昼間でも薄暗い。
    電気をつければ明るいのだが、もったいないからか昼間は消したままだ。


    古いお家で細長い台所は通り庭だったところを床張りにされたのだろう。
    玄関を入ると正面に台所があり、台所奥のドアを開けると裏庭である。


    冬以外はドアを開けたまま調理ができるので気にならない暗さではあるが、
    冬場はドアを閉めるので電気がないと真っ暗だ。目の前に黒猫がいてもわからない。
    むろん調理をするときは電気をつけるが、終わったら元どおりに消しておく。


    転倒防止のため「豆電球だけでもつけておいては」と提案してみたが、
    ご本人が「慣れてるからだいじょうぶ」と言われるのでしかたがない。


    対照的にこんな明るい家もある。以前書いた梅さんのお家である。
    このかた、家が明るいだけでなく性格もめっちゃ明るい。人好きでデイサービスが大好き。
    この前、ペタンク大会で賞をもらったそうだ。行くたんびにヘルパーが元気もらっている。
    [ 2014/12/18 06:38 ] 介護 | CM(0)
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  • 枝豆はどこへ消えたのか

    某訪問先でのこと。

    台所で調理をしていると花枝(仮名)さんがむずかしい顔をしてやってきた。

    悩み事でもあるのかと思ったら、「枝豆知りまへんか」とたずねられた。

    昨日、花枝さんに頼まれてゆがいた枝豆のことである。

    「昨日ザルに入れてここに置いときましたけど」と答えたが、「知りまへん」とのこと。

    そんなアホな(^^; 



    さっき台所に入ったとき、カラのザルが流しにあったのを思い出し、

    「食べはったんとちがいますか〜」と、やんわり返してみたが、

    花枝さんは「いんや ひとぉつも食べてない」とおっしゃる。

    「おかしいですねぇ。たしかにここに置いといたんですけどねぇ」

    もしかしてヘルパーがこっそり食べたとでも思てはるんやろか。

    やむなく「ネズミが引いていったんでしょか〜」と、お茶をにごした。



    「食べてへんのに」と、納得いかん顔で花枝さんが居室に戻られたあと、

    何気なく台所のゴミ箱をのぞいてみたら枝豆の皮が捨ててあった。

    やっぱり(^^; 

    消えた枝豆は、どうやら花枝さんのお腹のなかでこなれたらしい。



    御年94才の花枝さん、少しばかり物忘れの症状があるがまだまだお元気だ。


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    [ 2014/10/14 06:44 ] 介護 | CM(4)
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  • ヘルパー雑感

    利用者さん宅を訪問していてたまにヒヤッとすることがある。
    訪問時にいつもは開いている玄関に鍵がかかっているときだ。
    ピンポンを鳴らしても出てこられないと具合が悪いのではないか、
    家のなかで倒れているのではないかと気がもめる。


    たいていはまだ寝ていたり、鍵を開け忘れているだけなのだが留守の場合もある。
    「どこ行かはったんやろ」と思いながら待つ。


    15分待って帰ってこられなかったら、その日の訪問はキャンセルになり
    帰宅してもいいことになっているが、時給で働いているヘルパーは
    その訪問に費やした時間は無給、つまり無駄足となる。


    以前、利用者さんのなかに、すっぽかしの常習犯がいた。
    訪問日を忘れてでかけてしまうのか、あまりに留守が多いので、
    しまいにはサービス停止になったという異例のケースである。


    ある日のこと、留守宅にメモを残して帰宅すると事務所から電話があった。
    その利用者さんが「帰ったのでいまから来てほしい」と言ってきたそうだ。
    都合がつかず断ってもらった。


    介護保険のサービスは時間に制約があるので、出前のように電話一本で
    「ヘルパーたのんます」と言うわけにはいかないのである。


    このくらいなら笑ってすませられるが、なかには深刻な場合もあるので気が抜けない。
    訪問したときに亡くなられていて、ヘルパーが第一発見者になるというケースがそれだ。


    幸い白猫にはそのような体験はないが、訪問した利用者さんがその日の深夜に
    部屋で亡くなっていたことがあり、電話で警察官から事情聴取を受けたことがある。
    事件性はなく病死ということで落着した。


    訪問中に利用者さんの様子がおかしくなり、救急車で病院に運ばれたこともあった。
    白猫の連絡でかけつけたサービス提供責任者が病院まで同行していった。
    あとで聞いたが常用している睡眠薬をのみすぎたらしい。


    なにが起きるかわからん訪問介護、いつまでたっても慣れるということがない。
    ハラハラしながら今日も玄関先から声をかける。


    「おじゃまします〜。おかわりないですか〜」


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    [ 2014/08/26 09:17 ] 介護 | CM(0)
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  • 中村仁一先生講演『自然死のすすめ』




    関連記事「自然死という選択」



    とある訪問先でのこと。エンシュアリキッドを手にした訪問看護師さんが、
    「一日に3本のんでくださいね」と利用者さんにすすめていた。

    エンシュアリキッドとは食事がわりにもなる缶入りの栄養ドリンクのことで、
    病院では口から食べられない患者さんの経管栄養食としても使われている。

    利用者さんが最近あまり食べられないと言うので、栄養と水分補給のためにすすめているようだが、
    一日3本は無理だろうと思い、利用者さんに「のめますか」と聞いてみたら、
    飲むとおなかがふくれるのであまり飲めないと言われていた。さもありなん。

    おなかがふくれて、ごはんが食べられなくなったら逆効果のような気もするが、
    介護職は指示されたとおりに飲めよ、食べよとすすめるしかない現状である。
    白猫は無理にはすすめず、水分補給には麦茶やアクエリアスをお出ししている。

    医師は毎日点滴に来なさいと言ってるそうだが、利用者さんが言うには点滴に2時間くらいかかるので
    疲れるそうだ。点滴をしてもからだが楽になった感じはしないとも言われていた。

    高齢者は熱中症になりやすいので水分補給は必要だと思うが、見たところ元気で
    ぐったりしているわけでもない高齢者に毎日点滴をする必要があるのだろうか。
    場合によっては措置入院もありと聞いて疑問はふくらむばかりである。

    その日の水分摂取量をノートに記入しながら、いまの医療や介護って
    ほんまに利用者さんのためになってるんやろかと思うこのごろである。
    [ 2014/07/29 09:36 ] 介護 | CM(2)
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  • 病院に行くと疲れるのはなぜか

    同行の仕事で京大病院へ行った。今日は3科受診だったが、いつもより待ち時間が長かった。
    各科で診察待ち最長1時間。隣に2時間待ってると言う人がいて「いくらなんでも長過ぎる」
    と怒っていたが、以前にも5時間待ってると言う女の人が、「いつまで待たせるのよ!」と
    受付に食ってかかっている場面に遭遇したことがある。

    さすがに5時間はすごいなと思ったが、病院の待ち時間で1時間、2時間はざらである。
    同じ待つならと思い、このごろは3階にある図書コーナーに利用者さんを誘い、
    いっしょに本を読んでいる。あまり人もいないし、静かで落ち着く。

    待つのがしんどく感じるのは、その場の雰囲気によるところも大きいと思う。
    味気ない廊下のベンチで待つよりは、カフェや図書コーナーのほうがいい。

    ホスピタリティとは、「思いやり」「心からのおもてなし」という意味だそうだ。
    病院に患者さんがほっとできる、そんな場所を設けてほしいものである。


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    [ 2014/01/09 19:50 ] 介護 | CM(2)
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