ありふれたエスパー

 私がそのことに気づいたのは一年ぐらい前のことだ。

 昼休み。大学の地下の喫茶室で私は、親友の真理と卒業旅行の話をしていた。パンフを広げてはしゃいでいる真理の頭から、ピンク色の光がかすかに漂っているのが見えた。光は数十センチの厚みをもって繭のように真理の全身を包み込んでいた。周囲を見回すと、様々な色の光をまとった学生達が天人のようにテーブルの間を行き来していた。

 最初にそれが見えた時はさすがに慌てたが、日常生活で特に困ることもなかったので、私はこのことを誰にも言わず秘密にしていた。

 光は庭の植木や飼い犬のモモからも出ていた。光の正体をつきとめようと、インターネットを使っていろいろ調べた結果、私が見た光がオーラと呼ばれるものだと知った。

 オーラとは生体から放射されているエネルギーのようなもので、どうやら私はこのオーラを見る能力を授かってしまったようなのだ。

「ねえ。夏子ったら聞いてるの? さっきからぼんやりして。この頃おかしいわよ」

 顔をあげた真理の右頬のあたりのオーラが灰色にくすんでいた。

「真理、歯医者さんに行った方がいいんじゃない?」

「ええっ! どうして分かったの? 親知らずが痛み出したから抜いてもらおうかなって思ってたところよ」

「ううん、なんとなくそう思っただけよ。そう、なんとなくね……」

 笑ってごまかしながら隣の席に目をやると、ゼミで同じクラスのキョウジュが何やら浮かぬ顔でコーヒーを飲んでいた。彼がキョウジュと呼ばれているのは、顔立ちがおじさんっぽいのと百科事典みたいに博識だったからだ。

 キョウジュのオーラはなんだか元気がなかった。いつもは澄んだブルーでふさふさ?しているのに、今日は暗くておまけに台風のあとの麦畑みたいにぐったりしていた。

 私の視線を感じたのかキョウジュがふと私の方を見た。彼はお化けにでも会ったように驚いて急に立ち上がると、私の腕をひっぱったまま階段を駆け上がった。午後のキャンパスは光が満ちあふれていた。

 キョウジュは息を切らしながら言った。

「ねえ君。最近変わったことなかった? たとえば今まで見えなかったものが見えるようになったとか……」

 私はどきりとしてキョウジュのすがるような瞳をのぞきこんだ。

「もしかしてあなたも……? そうなのね」

「さっき君を見た時は驚いたけど、正直嬉しかったよ。やっと仲間に会えたんだからね」

「どうして私があなたと同じだって分かったの?」

「君の額から金色の光が出ているのを見たからさ。ほら、ここんとこ」

 キョウジュは自分の眉間のあたりを指差した。陽射しがまぶしくて目を細めると、キョウジュの額がかすかに発光するのが見えた。

 私は秘密を共有できる仲間ができてほっとした。自分だけ人と違うなんて宇宙人になったみたいで嫌だった。嬉しくなってキョウジュのオーラを「よしよし」と撫でる仕草をした。すると、うなだれていたオーラがふんわり起き上がってきた。

「あっ!」

 キョウジュがすっとんきょうな声をあげた。

「どうしたの!? 変な声出して」

「いまなんだかすごく気持ちがよかったんだ。皮膚を通して風が吹き抜けていくみたいな」

 そう言うとこんどはキョウジュが私のオーラを軽く撫でた。私は「えっ!?」と思った。彼の言うようになんだかとても気持ちがよかった。雨上がりの新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んだように。

 それ以来、私とキョウジュはこれをオーラのグルーミングと呼ぶことにした。不思議なことにグルーミングをするたびに心も体も元気になるのが実感できた。調子にのって私達はオーラと健康についての共同研究を始め、とうとう専用の豚毛のブラシまで考案する始末だった。そのうち二人だけの特許にしておくのがもったいなくなった私達は、疲れた顔をした人のオーラをグルーミングしてあげることにした。

 もちろん例の能力のことは内緒で。

 それが、いつのまにか噂が広まり、私とキョウジュは病気を治すエスパー(超能力者)として、一躍脚光を浴びるようになり、あれよと言う間にマスコミの寵児となった。

 ところが驚いたことに、まもなく世界中で私達のようなエスパーが続々と現われ始め、テレパシーを使った通信や、透視による病気の診断や犯罪調査、念力による映像技術の開発など、あらゆる分野で超能力を利用するのが当たり前になってしまった。

 おかげで、私とキョウジュは就職先に困ることなく、"ありふれた"エスパーとして、普通の社会生活を送れるようになったというわけだ。やれやれ(^^;


        ー 2009年9月9日 ー


 私はシャワーのあとのピンク色に輝くオーラをグルーミングしながら、テレビのスイッチを入れた。画面ではキョウジュに似た予報士が明日の天気を伝えていた。

「明日の天気は私の超脳力によりますと……」
[ 2006/01/29 17:25 ] メルヘン | CM(0)
  • EDIT 

  • 黄色づくし

    こたつ猫
    寒いので今日は一日こたつ猫になっていた。夕方、玄関に出て郵便受けを見ると、黄色い冊子がどっさり入っていた。町内の配り物だ。配り終えてから銭湯へ行く。帰りに自動販売機で復刻堂のレモンティーを買う。あ、また黄色(^^)vおまけに今夜のおかずは卵焼きだ(笑)

    おまけついでに
    オーラがイエローの人の性格をお教えしましょう。

    ☆☆☆

    イエローの人はオーラのスペクトラムのなかで、もっともこどもっぽい特質を持っています。遊び好きでとてもユーモアのセンスがあり、笑ったり人を笑わせたりするのが大好きです。人生は楽しむべきものだと思っています。人生を深刻に取るのも、また働くのも嫌いです。イエローの人にとって労働は遊びでなくてはなりません。リラックスして軽いノリでおもしろおかしく生きるべきだと思っていて、流れるように自然に生きるのが好きなのです。感受性に富み、よろこびに満ちあふれた存在で、その人生の目的は地球上のエネルギーを活気づけ癒すために役立つことです。そして人々に自分自身をあるいは自分の問題を深刻にとり過ぎないようにと気づかせます。
                  

                パメラ・オズリー『ライフ・カラー』より


    職業はひとつの職業を選択するより、様々な仕事を転々とするのを好むそうです。適職は3つの分野で、肉体労働やスポーツ関係、クリエイティヴで芸術的な仕事、健康やヒーリングに関する仕事。人間関係においても一人だけに束縛されるのを嫌うので結婚には不向きかも。

       ちなみに白猫のライフカラーはラベンダーと出ました(^^)
    [ 2006/01/28 20:57 ] satorix | CM(0)
  • EDIT 

  • 適職と天職

    年明けに、ふと黄色のマフラーが欲しくなりました。気に入ったので部屋のなかでも巻いています。おかげでこの冬は一度も風邪をひいていません。今年のラッキーカラーは黄色だにゃ(笑)と思っていた矢先に、たまたま入った書店で目に止まったのがこの本。スピリチュアルカウンセラー江原啓之さんの『プチお祓いブック』です。立ち読みですませるつもりだったのが、黄色に後ろ髪を引かれ買いました。



    スピリチュアルプチお祓いブック

    自分でできる簡単なお祓いの方法が書いてあり、巻末にはお祓い用護符や九字切りシールなどのおまけが付いています。霊に好かれるタイプ?の白猫には実用的なガイドブックになりそうです。Q&A形式で具体的な悩みの相談に江原さんが答えています。下記は仕事についての回答の一部です。地に足の着いた見解に共感を覚えました。
                     

    ☆☆☆☆                 

    やりたい仕事、生きがいがわからないと悩む人は、「適職」と「天職」の違いがわかっていないことが多いようです。自分の技能を生かし、生活のためのお給料をもらうのが「適職」。これに対し「天職」は、自分が心から好きなこと。収入は度外視して、才能をのびのびと生かし、それをすることによりたましいに喜びが得られることを言います。この二つはあくまでも別。混同させようとすると苦しくなるばかりです。二つをバランスよく使い分けることが人生を充実させるコツです。
    「適職」は生活のためと割り切り、生きがいは「天職」に見出しましょう。お金にならないとか、この年で始めてもモノにならないといった物質的な邪念を捨て、ありのままの自分を内観(自分自身をよく見つめること)すれば、自分を輝かせる才能は必ず見つかります。

    ☆☆☆

    なるほど。好きなことは仕事にしないほうがいいとよく言いますよね。
    同じ仕事観でも、解剖学者の養老孟司さんは「自分に合った仕事などない」と書いておられます。



    超バカの壁

    ☆☆☆☆

     仕事というのは、社会に空いた穴です。道に穴が空いていた。そのまま放っておくとみんなが転んで困るから、そこを埋めてみる。ともかく目の前の穴を埋める。それが仕事というものであって、自分に合った穴が空いているはずだなんて、ふざけたことを考えるんじゃない、と言いたくなります。

     合うとか合わないとかいうよりも大切なのは、いったん引き受けたら半端仕事をしてはいけないということです。一から十までやらなくてはいけない。それをやっていくうちに自分の考えが変わっていく。自分自身が育っていく。そういうふうに仕事をやりなさいよということが結論です。
     最近は、穴を埋めるのではなく、地面の上に余計な山を作ることが仕事だと思っている人が多い。社会が必要としているかどうかという視点がないからです。余計な橋や建物を作るのはまさにそういう余計な山を作るような仕事です。もしかすると、本人は穴を埋めているつもりでも実は山を作っているだけということも多いのかもしれません。
     しかし実は穴を埋めたほうが、山を作るより楽です。労力がかかりません。
     普通の人はそう思っていたほうがいいのではないかと思います。俺が埋めた分だけは、世の中が平らになったと。平らになったということは、要するに、歩きやすいということです。山というのはしばしば邪魔になります。見通しが悪くなる。別の言い方をすれば仕事はおまえのためにあるわけじゃなくて、社会の側にあるんだろうということです。

    ☆☆☆

    養老先生、シビアなご意見ありがとうございます(^^; さすがはベストセラー『バカの壁』の著者、発想がユニークで説得力がありますね。ちなみに先生の天職?は虫捕りだそうです。

    たしかに好きなことが仕事になれば幸せかもしれませんが、「仕事」にこだわらなくてもいいんじゃないのかなと自称文筆家(^^)の白猫は思っています。たとえお金にならなくても、好きなことを続けていれば、お金に替えられない報酬(充実感や喜び)が得られますよ。

    ところであなたの天職は?
    [ 2006/01/26 15:15 ] 読書 | CM(0)
  • EDIT 

  • 醍醐寺

    寒さ厳しいなか、西国札所第十一番の醍醐寺にお参りに行ってきました。豊臣秀吉が盛大に花見の宴を催したことで有名なところです。上醍醐の山頂付近はすっかり雪景色で、参道も雪が固まってつるつるになっていました。案の定、すべってこけました(笑)
    下山後、近くの"ねねの湯"へ。今日の薬湯は唐辛子とショウガでお湯の色は赤茶色。ぴりぴりして(^^;よく温まりました。帰りに丸太町通りでまたもヤサカの四つ葉タクシーに遭遇しました。
    ウソのようなホントのお話。

    招き猫群
    小野小町ゆかりの随心院そばのそば処(^^)"橘"は、江戸時代の寺侍の屋敷を改造したという古風なお店。いろりがあって、おもしろい置物が飾ってあります。これは招き猫のご一行様。

    水飲み場
    参道のなかほどにある水飲み場。親切に湯飲みが置かれています。
    こんな短冊風の木札が行く先々にぶらさがっていました。

    五大堂
    山頂の五大堂。2月23日の五大力さんの法要で親しまれています。

    白猫庵白猫のサイン。足跡付き(笑)
    [ 2006/01/24 20:43 ] 京都寺社 | CM(0)
  • EDIT 

  • 猫好き必見の書

    長いさんぽ長い長いさんぽ

    猫好きの方におすすめの一品のご紹介^^)
    漫画家の須藤真澄さんが、愛猫ゆずの亡くなるまでをユーモラスに描いたコミック本です。コミックとあなどるなかれ。火葬場で最後の別れをする場面などは、人間とおなじで胸に迫るものがあり、ほんとにもう涙が止まりませんでした(ToT)
    なのに、おかしくて笑いも止まらず、読後は心地よいカタルシス(浄化作用)がありました。泣き腫らした異様な顔で銭湯へ(笑)

    ふだんは「生きてる」って当たり前すぎて、ありがたいなんてあまり思いませんけど、身近な人や生き物が亡くなると、当たり前ってほんとはすごいことなんやなーって気づかされますね。いつもいる家族や小さな生き物や花や木、そして自分にも「生きててくれてありがとう」です。

    話は変りますが、BSEの発覚以来、いまもまた輸入牛肉に骨がついてたとかで騒がれてますよね。焼き肉屋さんには悪いけど、「そうまでして牛肉食べんでもいいやん」って思うんですよね。白猫は牛も豚もずっと食べてませんけど、ちゃんと生きてるよー(笑)
    みなさんはどう思われますか?
    [ 2006/01/22 18:21 ] | CM(0)
  • EDIT 

  • 逃げるが勝ち


    ニャー

    ポインターを黒猫に近づけると。。あらら^^)
    [ 2006/01/21 09:22 ] 未分類 | CM(0)
  • EDIT 

  • 鏡の法則

    今朝こんな言葉が浮かびました。関西ではおなじみの「アホッ!って言うもんがアホ」です(笑) 
    外側に見えるものは内面の投影であるとよく言われます。
    自分のなかに同じものがあるから見えるわけです。
    たとえれば、鏡に映った他人と見える自分に向かって「アホッ!」と言ってるようなものです。
    後ろ指をさすときの手の形は指差し こんなふうになりますよね。
    人差し指以外の三本の指は自分の方をさしているのにお気づきでしょうか。

    人の振り見て我が振り直せ。

    鏡を見て髪(神)が乱れていたら、ポケットからブラシを出してきれいに整えましょう。
    他人の言動に反応している自分に気づいたら、自己観察のチャンスです。
    他人を批判するとき、自分のなかにどんな価値観があるのでしょう。
    人を裁くと心が砂漠になります。そんな価値観は思いきって捨ててしまいましょう。
    すっきりして心が軽くなりますよ。
    [ 2006/01/21 09:16 ] satorix | CM(0)
  • EDIT